第二回オオムラサキの里山づくり実施報告書(秋)

■高橋講師によるオオムラサキの説明とスケジュールの確認
これからファーブルの森に行きオオムラサキの幼虫調査を行う。幼虫調査が終わり次第、栗山公園に歩いて移動し、昼休憩をとる。その後、前回も行ったハサンベツ里山地区に移動し間伐作業を行う。終了後、宿泊施設に戻り夕食をとり、ナイトハイクに行くことを確認。北海道でオオムラサキが生息している場所は4か所あり、栗山町、石狩市浜松地区、余市町・仁木町、そして札幌市藻岩山である。 栗山町はオオムラサキの生息地域の北東限になり、北限は石狩市浜松地区である。この時期(10月下旬)は、樹の葉にいたオオムラサキの幼虫が樹の根元に降りてきている時期にあたる。

 

 

■ファーブルの森(観察飼育舎)でオオムラサキの幼虫の説明
ファーブルの森観察飼育舎では、国蝶のオオムラサキを展示している。関係者がこの山でオオムラサキを採取したことで、オオムラサキ観察飼育舎ができた。他の山ではオオムラサキは少なくなかなか見られない。オオムラサキの幼虫がエゾエノキの葉を食べる為、この山にエゾエノキを沢山植えた。ここ2~3年は観察飼育舎の外でもオオムラサキが飛んでいるが、この山に元々生息していたものが繁殖したのか、観察飼育舎から逃げ出した個体が外で卵を産んだものなのかはわからない。現在では他の山にもオオムラサキの幼虫が少しいる状況である。この時期(10月下旬)は幼虫が冬眠するために樹から降りてくるタイミングである。観察飼育舎でオオムラサキの幼虫の現物を見てもらい、その後、この山でエゾエノキの根元を探りオオムラサキの幼虫を探してもらう。

 

 

■ファーブルの森でオオムラサキ幼虫調査
(観察飼育舎から山に移動)
高橋講師の説明
例年より暖かく、季節の進行が10日ほど遅れている。エゾエノキを探して根元を探りオオムラサキの幼虫を探すことになった。季節の進行が遅く、葉が緑色をしている為、まだ幼虫は葉を食べていることが予測され、樹の根元に降りてきていない可能性について説明があった。

(参加者はエゾエノキの根元を探りだすが、見つからず場所を移動する。)
エゾエノキに似た幹の樹が沢山あり、葉を見て識別するように促された。観察飼育舎管理者がオオムラサキの幼虫のついた葉を見つけた。(参加者は集まって観察する)話の流れの中でオオバエビ、クマイザサ、カナヘビ等の動植物の説明をした。結局、オオムラサキの幼虫がついた葉は、観察飼育舎の管理者2枚と参加者1枚の計3枚が見つかった。オオムラサキの幼虫は10月下旬くらいに樹を降りて越冬し、翌年の5月上旬に樹に上り葉を食べて暮らす。7月中旬くらいに蝶になる。オオムムラサキは6齢幼虫まであるが、今回見つけた幼虫は4齢幼虫だった。

 

 

■ハサンベツにて間伐
伐採するトドマツを説明する。トドマツは家を建てるときに使う樹である。今回切る樹は水の通り道にあるため枯れてきている。この樹を伐採し薪として使う。樹を4本倒すことにし、樹ごとに1名のインストラクターがつく。子供達がノコギリを引き、インストラクターが補佐をし、ノコギリの引き方、切る位置、倒す方向等指示する。疲れたときは、連続で作業すると怪我をしたり道具が壊れる可能性が高くなる、ノコギリの刃全体を使った方が効率が良い等、アドバイスをした。腕力のない子供達、コツが掴めてない子供達にはインストラクターが途中までノコギリを引き、子供達が引けそうなところで交代し、作業をさせた。大きな問題は起こらず樹は倒れた。子供達はインストラクターの指示・監視の下、倒れた樹の枝掃いをし、幹を一輪車に載せられるサイズに切り揃えて、台車に積んでいく。ここまでの作業が終わると、今度は薪割をする作業場に切り揃えた幹を運んでいく。作業場では運んできた幹を薪として利用できる高さにするために更に幹を切る。作業台に幹を載せ子供達で幹を切っていく。薪として利用できる高さに切り揃えられた幹を薪割台に載せ、今度はインストラクターの指示・監視の下、子供達自ら斧を持ち薪にしていく。利き手と同じ側の足を前に出すことによって安全に斧を振り下ろすことが出来る。参加した子供達は全員薪にすることが出来、作業を終了した。

 

 

■ナイトハイク
昼に作業をしたハサンベツにて夜の森の中を歩いた。夜空の明るい方向は江別と札幌の明かりである。当日は月の光が強く、真っ暗ではない。(前回は月の光が弱く視界が悪かった)スズメバチの巣の跡を途中で発見した。スズメバチは女王蜂候補以外越冬せず死に絶えてしまう。越冬は樹などで行うため巣は放棄されてしまう。(夜空を見上げながら)星がきれいなのは明かりが少ないから。(本日は明るい)北斗七星、カシオペア座、北極星、夏の大三角形、琴座、織姫と彦星、白鳥座を観察した。星は地球の自転と逆に周る。最後に望遠鏡を使用して、木星とその衛星を参加者に見せた。

 

 

■苗立て作業
2日目は苗立てを行った。樹は桜、どんぐり、栗等である。
[工程]
①鉢の底に炭を入れるものは入れ、鉢に土を入れる。
②種を指定された鉢に入れる。
③種が入った鉢に上から土をさらに被せる。
④出来上がった鉢を一輪車・台車に載せる。
⑤一輪車と台車で指定された場所に苗立てしたものを運ぶ。
各担当に分かれて作業を開始した。
土の中から子供達がヤトウガ、ハムシ等の幼虫を見つけてきたので説明する。
作業は滞りなく進行し、終了した。
オオムラサキ幼虫の食草となるエゾエノキの他、地域の里山を構成する代表的な樹種、エゾヤマザクラ、ミズナラ、トドマツ等、約50本の植林を行った。
作業終了後、どんぐり笛、草笛を子供達に教えたり、食用のきのこ採りを行った。

 

 

第一回オオムラサキの里山づくり実施報告書(夏)

第三回オオムラサキの里山づくり実施報告書(冬)

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