第三回オオムラサキの里山づくり実施報告書(冬)

■雨煙別学校で<1日目>
佐藤理事長が開講の挨拶をし、雨煙別学校インストラクターから極寒の野外作業中の注意が続いた。栗山は寒いので着る物で体温調整する等、温度管理をしっかりするよう促した。1日目のスケジュールの説明をした。午前は雨煙別学校の敷地内でシイタケのほだ木作りと花炭作りをする。午後はハサンベツでスノーシュー(西洋カンジキ)を履いてスノーハイクをした後、炭作りの手伝いをする。夕食後星空観察を予定している。との説明をした。

 

■シイタケのほだ木作り
敷地内にある作業スペースへ移動し、シイタケの種菌のついた種コマを見せ説明し、ほだ木に打ち込む工程を説明する。ほだ木の原木の説明。ほだ木はミズナラがよい。樹皮がしっかりついているような生木を選ぶ。原木作りはこの時期から春先くらいまでがいいといわれている。種ゴマのサイズを説明し、入るような穴を原木にこれから開けていく。穴の開け方の説明に入る。専用のドリルがあり、種菌の入る深さで止まるようになっている。樹の一面に対して3か所ずつ穴を開けていく。90度樹を反転し、新しい面に今開けた穴と穴の中間の位置に穴を開けていく。この作業を360度繰り返す。今日は20本程用意している。全員に体験してもらう。2班に別れて作業に入る。各班にインストラクターを配置し、安全を管理しながら説明を行う。年少児は開けるドリルの振動に耐えられないために、インストラクターがドリルを抑えながら穴を開けていく。全ての穴を開け終えた後、開けた穴に木槌等を使い、種ゴマを打ち込んでいく。種ゴマには上下があり、細くなっている方を穴に向けて奥まで打ち込む。滞りなく作業を終えた。

 

 

■花炭作り
本格的な炭作りは何日もかかるので花炭作りを体験してもらう。家族ごとに活動してもらう。家族を単位として缶を渡す。中に花炭にする松ぼっくり、栗等を選んでもらい入れてもらう。そして穴の開いた缶の蓋を閉めてコンロの上に置いてもらう。15分ほどコンロの上に置くと花炭ができる。出来た花炭は持って帰ってもらう。(コンロは、屋外でバーベキューをするときに使うような薪と炭を使用する物の事である。)花炭は消臭剤に使える。コンロと火の粉は火傷の原因になるので注意することを促す。部屋が蓋に開けられた穴から出る煙におおわれる。この煙が出なくなると花炭が出来上がる。次第に煙が無くなっていった。缶の蓋を開けるときに熱いので注意が必要だと促し、インストラクター指導のもと、蓋が開けられた。花炭が出来上がっており、感嘆の声が上がった。栗山町役場の広報担当者が来訪し、佐藤理事長、参加者の子供たちに花炭作りの感想等を聞いた。作り終えた花炭を缶ごと宿泊施設に移動し、午前の日程は終了した。

 

 

■スノーハイク
午後はハサンベツに移動しスノーハイクを行った。気象状況は晴れ間が覗く曇り空で、風もなく、特に気になるほど寒くもなく実施するには悪くない環境であった。スノーシュー(西洋カンジキ)の説明をする。スノーシューには左右があること、靴をしっかりと固定しないと安定しないこと、靴の下に鉄の爪がついており、それを利用して歩くことなどを説明した。ストックも貸与され、危ないので注意を促す。(子供たちに貸与されたスノーシューは新型の物であり靴がバックルで固定されている。その周りをパイプで覆ったものであり、日本に昔から見られるカンジキとは異なる物である。紐で固定する物は子供の力では締めきれないため一部の大人が使用するだけだった。)全員用意が出来、コースに向かう。スノーシューの歩き方を説明した。基本は擦るように歩く。パイプが足の周りを覆っているため普段の左足と右足との間隔とは異なる。そのために自分のスノーシューを踏んで転倒しないように注意を促す。慣れが必要だがスノーシューを履かないで歩くよりずっと歩きやすい。スノーハイクを終えた後、次のスケジュールで行くことになる炭焼き小屋の前を通りコースに入っていく。コースは起伏のある山の斜面である。途中に湧水があり、その周囲だけ雪が解けている。冬ならではのコース取りで山を登って行ける。年少児には登り斜面は厳しく、すぐに登ることが出来ない。歩調を合わせるためゆっくりと斜面を登って行った。 落ちていた大葉菩提樹の種を見つける。プロペラのような部分があり回転して落ちてくる。モモンガが好きである。ハサンベツにもモモンガは生息しているが数は少ない。キツツキが樹木に開けた穴に居ることがある。大きな雪の塊が樹の上にあり指し示す。ここに限らず落ちてくると危ないので見つけたら下を通らないように促す。樹皮が沢山剥がれている樹を見つける。子供達に何が何のために剥がしたのか問題を出す。これはキツツキが食料である虫の幼虫を探すために剥がしたものである。蛾(クスサン)の繭、テンとキツネの足跡を見つけ、子供達に見せる。高所に着き、子供達を集めて記念撮影をする。(木製クラフト作成でこの写真を使用する。)今回はこれから山を下っていく。下りは登りの5分の1程度の時間で下りられる。スノーシューで滑って降りる方法を教えた。怪我もなく皆下山した。

 

 

■炭作り体験
スノーシューを脱ぎ炭焼き小屋へ移動した。炭焼き小屋担当者を紹介した。花炭作りのときにコンロで使用した炭はここで作った物である。本当は皆にここで炭を作ってもらいたいが、炭は出来上がるまでに一週間かかる。そこで今回は炭にする材料をかまどに入れるのを手伝ってもらう。炭焼き小屋担当者がかまどの中に入る。子供達とインストラクターは外から炭にする材料をかまどの中に入れていく。かまどの中に入って見学できた子供もいた。積んであった炭にする材料が半分まで減ったところで時間の関係もあり体験を終了した。

 

 

■星空観察に代えてスライド上映
星空観察の時間に星が見えなかった事から、予定を変更し、ハサンベツにいる哺乳類のスライドを上映することにした。最初に少しだけ星座のスライドを映し、星が見えなくても、見えすぎても星座が見にくくなることをオリオン座を映しながら説明する。ハサンベツにいる哺乳類のスライドを上映する。キタキツネの画像から始める。日中から見られる哺乳類は多くないがキタキツネは日中から見られる。今の時期は春に結婚するためにお嫁さんを探す時期だと教える。次に狸の画像を映しこの動物は何か質問する。ハリネズミ、アライグマ等の解答があった。狸は日中あまり見られない。狸は寒くなると活発に活動しない。(冬眠はしない)ハサンベツに沢山いる。夜自動撮影機を使って撮影したものである。動物の足跡を見せた。特徴のある足跡である。サル、雪男等の解答があった。アライグマの足跡である。ハサンベツに沢山いる。次にエゾクロテンの足跡を見せた。スノーハイクで見て覚えていた子もいた。北海道に元々いたテンである。他のテンの仲間であるキテン、クロテンも紹介した。次はイタチの説明。水場のそばで見かけることができる。足跡に特徴があり、両足が揃っているとテン、イタチの仲間である。イタチの仲間のイイヅナを映す。小さい種である。インストラクターは普段、鳥を調査する為、足に目印をつけるために捕まえるが、その捕まえた鳥に襲いかかっていたイイヅナの話をする。自分と同じくらいの鳥に襲い掛かる獰猛な種である。ウサギの足跡を映し、どちらに進んでいるか質問する。ウサギの足跡の特徴は、前足がついた後に後ろ足が飛び越える為、前についている足跡が後ろ足である。エゾリスの足跡を映す。大きなリスである。インストラクターはエゾリスに顔を蹴られたことがある。エゾリスは冬眠しない。エゾモモンガを映す。ハサンベツには沢山いない。今いい観察ポイントを探している。アングルが同じアカネズミ、ヤチネズミを映し、どうして同じ場所で写真が撮れるのか説明をする。ピーナッツを画面より右に置き自動撮影装置で撮影しているので同じアングルの写真が撮れる。ヒメネズミを映す。ヒメネズミは雨煙別学校のゴミ箱に入っていた事もある。(ゴミを漁っていて落下したもの)コウモリを映す。水面に昆虫が沢山飛んでいる。これを餌にしている。トンネルの中でまとまって寝ている画像等を見せる。薪を動かしていたらコウモリが冬眠していたこともある。以上でスライド上映を終了した。

 

■木製クラフト作成<2日目>
雨煙別学校内の作業場で、フォトフレームに自然の材料(小枝、樹の実、紅葉した葉等)を使ってデザインし、希望者は彩色を施して趣向を凝らしたものを作ってもらう。汚れないように新聞を広げて、小刀を使う際に役立つ画板をテーブルの端に引っ掛ける。小刀の説明に入る。右利き用と左利き用がある。逆のものを使うと使いにくく危ない。小刀を持つときは表に斜めの刃がくる。親指で背を押して使用する。小刀は太い物を切るものではない。太いものを切るときはインストラクターに声をかけて欲しい。インストラクターが鋸等で切断する。小刀は押して切る。力をかけて削りたいときは画板に押し付け立って切る。難しいと思ったら言ってくれればインストラクターが切る。席を離れるときは危ないので小刀にカバーをする。デザインに関しての説明をする。フォトフレームには今回はスノーハイクで撮った集合写真を入れるが、フォトフレームは縦にも横にも使えるようになっているので必ず横デザインにする必要はない。立てる方向を意識してデザインして欲しい。彩色を施したい人は間違って色がガラスに付くと取れなくなってしまうので外して作業をすること。説明が終わり参加者はフォトフレームにデザインを加えていく。作成時間は2時間半ほどあり、終始和やかな雰囲気で作業は進行した。全員完成した。昨日作った花炭とフォトフレームの持ち帰り方法について説明をする。以上で木製クラフト作りは事故もなく終了した。

 

 

■閉講の挨拶
主催者の当法人佐藤より閉講の挨拶をした。全三回のオオムラサキの里山づくりは今回で終了する。オオムラサキの里山づくりに参加してもらい感謝している。都市住民が森林づくり活動に参加することで、森林との係りを身近に感じ、森林整備や林業への理解を深めてもらうことが出来たこと、参加者の協力に感謝する。また栗山町に遊びに来て欲しい等を述べて楽しかった「オオムラサキの里山づくり」の終了を告げた。最後にアンケート記載協力をお願いして本事業の全日程は終了した。

 

第一回オオムラサキの里山づくり実施報告書(夏)

第二回オオムラサキの里山づくり実施報告書(秋)

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